4つの研究力
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ソフトカプセルから製剤研究へ
「製剤」とは、有効成分に添加物などを配合し、加工を施したカプセルや錠剤などのことで、飲み方などの使用方法、有効成分の吸収性や安定性などを考慮して設計されます。その製剤研究でも、積み重ねてきた実績が現在に受け継がれています。
1975年にソフトカプセルの生産を開始、80年代には最新のテスト機を導入し、さまざまな製剤研究が行えるようになりました。また研究員は外部の製薬会社にも足を運んで製剤技術を磨き、数多くの剤形の製法を習得。これらの経験が礎となり、医薬品の製剤では特に有効成分を適切に届け、かつ、より吸収させるカプセルを目指して研究し、技術を追求してきました。
効率よく体内に吸収させるため
水溶化コエンザイムQ10を開発
有効成分を体内に"より吸収しやすくする"ことを追求したのが、水溶化コエンザイムQ10です。すでに発売していた脂溶性コエンザイムQ10は、食事と一緒に摂取しないと吸収されにくいものでした。その水に溶けにくい性質を、いつ摂取しても吸収されやすいよう水溶化する研究を進めました。数年に及ぶ技術開発を重ね、"あらかじめ水になじんでいる状態"を作り出すことに成功。日清ファルマ独自の水溶化コエンザイムQ10を生み出し、「水溶化キューテン」に使用しています。これは、コエンザイムQ10のパイオニアメーカーとして、研究力と技術力の結晶といえる商品となりました。
ビフィズス菌を生きたまま大腸に届けるダブルガードカプセル
同様にビフィズス菌を"適切に届ける=生きたまま大腸に届ける"ために生み出されたのが、「ビフィコロン」に使用されたダブルガードカプセルです。水や酸、アルカリなどに弱く、非常に不安定なビフィズス菌を、生きたままいかに効率よく大腸に届けるかが製剤化の課題でした。そこで、胃酸から守る耐酸性ガード層と、胆汁や消化酵素などから保護する難消化性ガード層からなる二層構造のカプセルを開発する研究が進められました。二つのガード層を備え、大腸内に到達してはじめてカプセルが崩壊。そのためには、適切な厚みで、均一にコーティングすることが必要でした。しかも商品として発売するには、大量のカプセルに一度に同じコーティングができなくてはなりません。何百回と試作が繰り返され、ようやく完成しました。
この成功は医薬品製剤で培った「フィルムコート錠」や「糖衣錠」の開発経験があってこそのもの。このように長い歴史で受け継がれてきた技術は、現在の商品にも確実に生きているのです。
※1 特許第5087167号(発明の名称:ビフィズス菌大腸デリバリーカプセル及びその製造方法)、特許第6457963号(発明の名称:大腸デリバリーカプセル製剤)
※2 臨床試験において「ダブルガードカプセル」を摂取した成人男性の83%で摂取後、カプセルが胃や小腸を通過し、大腸付近で崩壊することが示唆されています。