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おとな旅 ゆとり旅
ノスタルジック・トレイン

大井川鐵道の旅

静岡県

2020年は、旅の予定も立てられないまま夏を迎えられた方も多いでしょう。
そんな折だからこそ、旅の気分をお届けしようと
リブロン本誌では「大井川鐵道の旅」を取り上げました。
そのダイジェスト+追加情報をここでご紹介します。

大井川鐵道

※運転日・時刻表等、最新情報は大井川鐵道ホームページをご覧ください。
(2020年8月現在、継続的な大雨の影響で大井川鐵道は家山駅~千頭駅間でバスによる代行輸送を行っております) http://oigawa-railway.co.jp/

「新金谷」へのアクセス

SL急行「かわね路号」に乗る

大井川鐵道は大正14年(1925)、大井川上流部の土木や森林資源の輸送を目的に創設されました。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」
大井川鐵道(大正14年創設)は、かつて東海道の難所とされていた大井川に沿って走ります。2020年の春は運休を余儀なくされましたが、平時であれば年間300本ほどもSL列車を走らせています。

今回乗車したSL急行「かわね路」号の始発駅は、静岡県島田市の「新金谷」。終点は約40キロ先の「千頭」(川根本町)。
1時間と15分前後の汽車の旅です。
その間、汽笛、煙、シュッシュッシュッシュッ…と繰り返されるブラスト音で、懐かしいSLをたっぷり〝体感〟できます。
SLが引く客車ももちろん、昭和レトロ。天井には扇風機。冷房は付いていません。ですが、昔の客車は窓が大きく開きます。だから夏場は窓を開けて風を通す、昔ながらの汽車の旅を楽しんでください。

旅のお供は、地元・静岡の産品をふんだんに使った、大井川鐵道オリジナルの駅弁。
写真は「大井川ふるさと弁当」(左)と、「SLの里茶飯弁当」(右)です。
きらめく川面、山や茶畑のまばゆい緑…。お弁当を味わいながら、心を満たす“目のごちそう”も召し上がれ。

「南アルプスあぷとライン」に乗る

千頭から乗り継いだのは、大井川鐵道の「南アルプスあぷとライン」(井川線)。現在、国内で唯一、「アプト式」列車を運行している路線です。
アプト式とは、歯形のレールと車両に付けられた歯車をかみ合わせて、急こう配を登り下りする仕組みで、スイスの山岳列車などにも採用されています。
写真は井川線の「奥大井湖上」駅。湖に突き出た半島の上に駅があります。深い山、緑の湖水に浮かぶ架かる赤い橋。この光景は、「自分の眼で見てみたい」と、人を旅にいざなう強さ、美しさを秘めています。

「アプトいちしろ」駅と次の「長島ダム」駅との間に日本一の急こう配があり、この区間は機関車を追加。後方から列車を押し上げて進みます。

秘境駅中の秘境駅「尾盛」駅、日本一高い鉄道橋「関の沢橋梁」などを経て、終点「井川」駅へ。
徒歩圏内には、堤高100mを超す井川ダムが。近くで見ると迫力満点です。

川根温泉で旅の疲れをいやす

寄り道・途中下車も、旅の醍醐味の一つ。大井川鐵道の沿線にはいくつかの温泉が湧き出していて、つい途中下車したくなります。
中でも注目は「川根温泉」。最寄りは、大井川本線の「川根温泉笹間渡」駅(普通列車、上りSL列車〈新金谷行き〉のみ停車)。
湯量は静岡県内トップクラスで、泉質もよく、源泉かけ流しの湯でゆっくり旅の疲れを解きほぐすのにもってこいの名湯です。

川根温泉ふれあいの泉

「川根温泉ふれあいの泉」は、SLが見える露天風呂をはじめ、水着で楽しめる温水プール、大浴場、サウナ、寝湯、ジャグジーのバーデゾーンなどの温浴施設に、宿泊コテージも備えた施設。

敷地内にある「道の駅 川根温泉」では、地元の生鮮品や手作り加工品の販売、川根茶の手もみ体験教室なども開催されます。

●川根温泉ふれあいの泉 http://kawaneonsen.jp/

川根温泉ホテル

各部屋に源泉かけ流しの檜風呂を備えた和室と、大きめベッドのスタイリッシュな洋室。
大井川鐵道が運営する、ゆったりくつろげる温泉ホテルです。
日帰り入浴OK、ランチと入浴券のお得なセットもあります。ランチタイムには、鉄橋を渡るSLの姿を見ることもできます。

●「大井川鐵道 川根温泉ホテル」
公式サイト
https://slonsen.jp/

旅の図書室

1904年刊の
「怪談」初版本

「おとな旅・ゆとり旅」で訪ねた土地にゆかりのある文学者や書籍を紹介するコーナーです。
今回は夏の風物詩「怪談」にちなみ、小泉八雲が著した「怪談」を取り上げ、大井川河口部東岸の町「焼津」―小泉八雲がこよなく愛した保養地を歩いてみました。

焼津と 小泉八雲

焼津は遠洋漁業の基地として知られ、また海の向こうに霊峰・富士を望む風光明媚な保養地としても愛されてきました。
ラフカディオ・ハーン―小泉八雲(1850~1904)もその一人。
東京で暮らすようになった八雲は、焼津の海を気に入り、何度もここで家族と共に夏を過ごしました。そう、「怪談」が出版された1904年、彼の最晩年の夏も…。
雄大な海、町の風情、素朴で温かい人びと…。焼津にはいまも八雲ゆかりの見どころが点在し、散策や・ドライブしながら往時をしのぶことができます。

焼津の海岸と、八雲の手によるスケッチ画。

八雲一家がこの町へ来るたび身を寄せた家があった「浜通り」。
現在は「八雲通り」とも呼ばれています。

焼津神社など町にたたずむ寺社をめぐる道は、
八雲お気に入りの散策コースでした。

●焼津市/焼津小泉八雲記念館

http://www.city.yaizu.lg.jp/yaizu-yakumo/

「焼津小泉八雲記念館」では、彼の創作活動とともに、焼津の人びととの交流を伝える資料を見ることができます。

●ホテルアンビア松風閣

https://www.syofukaku.com/index.html

八雲が時折足を運んだ「浜当目」地区に立つ「ホテルアンビア松風閣」は、全客室がオーシャンビュー。富士と駿河湾を望む雄大な眺めは、まさに絶景。館内の「黒潮温泉」(露天風呂・大浴場)は日帰り入浴も可能です。
また「焼津に来たからには、松風閣でマグロを食べてみて」という地元民さんからの情報も。遠洋漁業の町・焼津の人たちも、このホテルにお昼を食べに来るというから、そのおいしさは折り紙付き。焼津に足を運んだら、ぜひ味わってみてください。

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