経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」は、
2021年1月15日現在で236品目を数えます。
ではその内訳はどのようになっているのでしょう。
業種別、地域別に見てみることにしましょう。







「伝統マーク」
- 主として日常生活の用に供されるものであること
- その製造過程の主要部分が手工業的であること
- 伝統的な技術又は技法により製造されるものであること
- 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること
- 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること
経済産業省ホームページより

業種 | 指定数 |
---|---|
織物 | 38 |
染色品 | 13 |
その他の繊維製品 | 5 |
陶磁器 | 32 |
漆器 | 23 |
木工品・竹工品 | 32 |
金工品 | 16 |
仏壇・仏具 | 17 |
和紙 | 9 |
文具 | 10 |
石工品 | 4 |
貴石細工 | 2 |
人形・こけし | 10 |
その他の工芸品 | 22 |
工芸材料・工芸用具 | 3 |
[織物][陶磁器][木工品・竹工品]が多いのはうなずけることと思います。また漆器は23品目を数えます。漆器って、そんなに伝統的な産地があるの? と意外に思われる方も多いかもしれません。23品目を挙げてみましょう。
津軽塗(青森県)/秀衡塗(岩手県)/浄法寺塗(岩手県)/鳴子漆器(宮城県)/川連漆器(秋田県)/会津塗(福島県)/鎌倉彫(神奈川県)/小田原漆器(神奈川県)/村上木彫堆朱(新潟県)/新潟漆器(新潟県)/高岡漆器(富山県)/輪島塗(石川県)/山中漆器(石川県)/金沢漆器(石川県)/越前漆器(福井県)/若狭塗(福井県)/木曽漆器(長野県)/飛騨春慶(岐阜県)/京漆器(京都府)/紀州漆器(和歌山県)/大内塗(山口県)/香川漆器(香川県)/琉球漆器(沖縄県)
あらためて、
日本は漆器の国だということがわかりますね。

また、[その他の工芸品]というジャンルがありますが、これには、天童将棋駒(山形県)、江戸木版画(東京都)、越中福岡の菅笠(富山県)、岐阜提灯(岐阜県)、京扇子(京都府)、播州毛鉤(兵庫県)、丸亀うちわ(香川県)などがあります。

[その他の繊維製品]にもふれておきましょう。全部で5品目あります。行田足袋(埼玉県)、加賀繍(石川県)、伊賀くみひも(三重県)、京繍 (京都府)、京くみひも(京都府)です。
写真提供/石川県観光連盟


県別の指定数では、東京の18品目を筆頭に、京都の17品目、新潟と沖縄の16品目と続きます。東京が最も多いわけですが、さて東京の伝統的工芸品、あなたはいくつ挙げられますか? 答えは以下のようになります。
村山大島紬[織物]/本場黄八丈[織物]/多摩織[織物]/東京無地染[染色品]/東京染小紋[染色品]/東京手描友禅[染色品]/江戸和竿[木工品・竹工品]/江戸指物[木工品・竹工品]/東京アンチモニー工芸品[金工品]/東京銀器[金工品]/江戸押絵[人形・こけし]/江戸木目込人形[人形・こけし]/江戸節句人形[人形・こけし]/江戸べっ甲[その他の工芸品]/江戸からかみ[その他の工芸品]/江戸切子[その他の工芸品]/江戸木版画[その他の工芸品]/江戸硝子[その他の工芸品]
使って楽しみたい——伝統的工芸品。でも楽しみ方はほかにもあります。たとえば産地を訪ねて「伝統的工芸品散策を楽しむ」、あるいは「製作体験を楽しむ」などです。
伝統的工芸品の産地は、歴史的なたたずまいを残すところも多く、ゆったりとした時間を過ごすことができます。趣ある街に浸り、伝統的工芸品を紹介するミュージアムを見学し、お気に入りのものを見つけてお土産にするのは、とても楽しいものがあります。さらには製作体験にチャレンジすれば、いっそう心に残る思い出となるでしょう。

[木工品・竹工品]樺細工の技術を今に伝える、角館(秋田県仙北市)。通称「武家屋敷通り」エリアは国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉に染め上げられるさまは、息を呑むばかりの美しさです。


六古窯の一つで、急須でも有名な、[陶磁器]常滑焼。街には、常滑焼の歴史と繁栄を刻む散策路「常滑やきもの散歩道」が整備され、常滑焼のギャラリーや常滑焼の食器を使ったカフェなどもあり、界隈は人気のスポットとなっています。
